ISBN:4101327408 文庫 赤川 次郎 新潮社 2004/06 ¥620

走る事を頑なに拒絶、記憶障害、ヒロイン朝野さつきの表情の裏に封印された恐怖。「学校」という閉鎖された社会で傷つき追い詰められていく者たちの、せつなすぎる物語。

学校という極めて特殊な時間、その当事者にとっては、その時間が全てであり、その時間に反論を持たない。おそらく、多くの学生は、何の問題もなく学校に通っているだろう。
学校というのは、あらかじめ作られたテストによって横並びに競争させられる。そによって世界が左右されるかのように。
卒業してからは、自分の立てた問いや課題を考える事によって勝負が決まってしまう。

その社会を知る教師、その社会を知らない生徒、そのギャップは、意外と大きい。穴ぼこだらけの道を教師は、生徒を引きつれ歩いているのだ。

少しミステリアスに、そしてフランクに社会に訴える表現は、読み終わった後に、自分自身が大人でありたいと思うほど、何か痛烈な刺激を胸に感じるはず。

学生である人、大人であると思っている大人、ぜひ一読してもらいたい。

コメント

nophoto
くるみ
2009年6月12日17:30

この小説に出てくる親友の事故、兵庫県立神戸高塚高校校門圧死事件とそっくりじゃないですか?先日大学の講義でこの事件の話を聞いたとき、この小説を思い出しました。

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